(9)転換性障害

稲垣由子
明石こどもセンター

転換障害とは心理社会的要因が引き金となって、身体疾患のような症状が出現するものです。その症状のために、日々の生活を送るのが苦しくなっている状態を指します。

子どもの場合、身体的のも精神的にも未熟なため、心理社会的なストレスを自覚できず、しかも言葉で表現しにくく、行動や身体症状になって現れやすいのです。一般年齢が高くなるにつれて患者数は増え、男性よりも女性の患者さんのほうが多く2~3倍にも上がるといわれています。

診断は身体的な疾患が認められないことが条件です。そのうえで、あたかも身体疾患の持っているような症状が認められます。運動機能や感覚機能が損なわれています。具体的のは、運動麻痺、部分的脱力(力が抜けて歩けない、手が挙がらないなど)、物が飲み込めない、声が出ないや、触覚・痛覚の消失や聴覚障害、視力障害などです。また、子どもに多いのは発作やけいれんなどがあります。

年少の子どもでは、急性の経過で、安心・安全感を子どもが感じると、良くなるものが多いです。そのために、子どもに安心・安全感を感じさせるように接することがケアする際に大切になります。運動障害を長期にわたって示すことから、使わないことによる二次的な機能障害に陥ってしまう場合もあります。

治療は、子どもの表現している身体症状に寄り添いながらも、引き金となっているストレス要因に注意を払いながら、子どもの自尊感情を自ら感じられるように接することです。

そのほか環境調整や、薬物療法がありますが、身体的な疾患が否定されれば、心の診療の専門家にかかることをお勧めします。

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