平成21年度 初夏のご挨拶(2009年掲載)

2009年6月1日

説得力のある学会を目指して

平成21年度がスタートしてすでに2ヶ月が経ちました。皆様におかれましても、フレッシュマン/レディが診療に参画され、無事軌道に載った頃でなないでしょうか。今年は、連休明けから新型インフルエンザが日本を騒がせました。しかし、私達国民の力によってそれも無事に乗り切ることができそうです。今後、いつ何時、また国民を脅かす国難が来るかも知れません。それに備えつつ、より一層社会に貢献し未来を切り開くためにも、本学会としましては、会員一同、尽力していきたいと気持ちを新たにしております。この場を借りまして、学会からのメッセージを掲載致します。

【第27回日本小児心身医学会大会(会長 石崎優子・関西医科大学小児科) 兼 第1回日本心身医学5学会合同集会】

日時・場所:2009年6月5日—7日・東京国際フォーラム 
いよいよ、今週末から心身医学関連の国内学会が一同に会する第1回日本心身医学5学会合同集会が開催されます。小児から成人に至る心身医学上の様々な課題やトピックスについて、小児科医からの視点、内科医からの視点、精神科医からの視点で議論されます。日本歴史上初となる試みであり、石崎優子会長をはじめ、全5医学会の大会長、運営員が全力を投入して情熱的に企画を進めました。これまでの運営が異なる5つの学会を一度に開催するためには、大変な困難を伴いました。とくに、本学会では石崎大会長が奮迅の尽力をされましたことを、この場を借りまして報告致します。さらには学会員全員の支援があったことから、演題数も予想をはるかに上回りました。心からお礼申し上げます。
詳細は、 http://www.jsp5cc.org/ をご覧下さい。多くの方のご参加を心からお待ちしております。

【本学会の未来ビジョン】

本学会の過去27年間の活動をふり返ってみると、先達がこの領域においてオピニオンリーダーとしての役割を見事に果たしてこられました。しかし、広く日本全国を見た場合、一般小児科診療のなかで心身症や心の診療が充分に根付くところまでには至っていません。なぜなら、まだ専門医の数が少なく、初診まで何ヶ月も待たなければならない現状があるからです。

そこで、心身症診療においては一般小児科医に初期診療のご協力をお願いしております。一般診療での負担を軽減すべく、保険委員会が診療報酬上の改訂という点から取り組んでおります。さらに心の診療に取り組めるためのハード面、ソフト面での基盤整備が必要であり、関連する他学会や、関連する国家施策との協力連携を行い、効果的な診療体制の構築を急ぐ必要があると考えています。そのためにも本学会は、さまざまな未来ビジョンを掲げています。そのビジョンを達成するための事業では、説得力のあるプロダクトを創出することに力を注ぎたいと考えております。本HPでは、以下の2つの事業についてご紹介致します。

【『小児心身医学会ガイドライン集:一般小児科医が日常診療に活かす4つのガイドライン』 日常診療に説得力のあるテキストが完成!大規模研究までも見据えた多施設共同研究心身症ガイドライン】

本学会は設立当時より小児科医への心の診療医養成に取り組み、毎年、各種の研修会を継続開催してきました。しかし、コンセンサスのあるテキストがなく、標準化された研修がなされていませんでした。小児科医に心の診療へ広く参画してもらうためには、日常診療に説得力のテキストが必要でした。その一方で、養成された専門医が効果的な医療活動を展開するためには、心身症の疾病動向を把握することも必要でした。各心身症の疾病対策を講じるには、標準化された方法によって発症率や治療効果を研究する必要があります。これらの理由から、他施設共同研究による各心身症ガイドラインの作成と、それに基づく疾患動向調査を行うことを計画しました。

会員の総力を挙げ、心身症ガイドラインは、起立性調節障害(2006年)、神経性無食欲症(2008年)、不登校診療(2008年)の3つがすでに発行され、機関誌に順次掲載しました。さらに、一昨年から急ピッチで作成を進めて参りました「くり返す子どもの痛みガイドライン」につきましても、石崎グループ長が尽力され、無事、2009年5月に発行することができました。

なお、これらのガイドラインは、2009年6月、南江堂から『小児心身医学会ガイドライン集:一般小児科医が日常診療に活かす4つのガイドライン』として発行予定です。第1回日本心身医学5学会合同集会(第27回日本小児心身医学会大会)では、展示販売する予定です。是非、お求め下さい。

【子どもの心の診療医養成事業】

現在、国は「子どもの心の診療医養成」事業を展開しており、本学会も積極的に協力しつつ、独自の方法で力を入れています。これに関する現状については、本学会機関誌「こどもの心とからだ」と本HPに掲載致しました。是非、お読み頂きますようお願い致します。
こちらから

当該事業では、心の診療の専門性を勘案し、一次診療担当、二次診療担当、三次診療担当という段階をイメージして、小児科医が子どもの心の診療に無理なく参画でき、興味を持ちながら自己研鑽学習ができる方向性の実現を目指しております。

今年度から、発行されました上記の4つのガイドラインを効果的に使用し、わかりやすい実践的な研修会を開催したいと考えております。さらに全国の小児科医が身近で研修会に出席できるように、全国にある5箇所の地方会において、研修会を積極的に開催する計画です。研修会にご参加下さいました皆様方の意見を集約し、子どもの心の診療に効果的なハード、ソフトの開発を今後とも続けたいと考えています。

全国の小児科診療に携わる医療関係者におかれましては、是非、日本小児心身医学会地方会にご参加下さり、さらには最新のスタンダードである4種類の心身症ガイドラインをご利用くださり、激務の日常診療を乗り切って頂けることを心からお祈り申し上げます。

次回のメッセージでは、本学会の認定専門医制度について取り上げたいと考えています。乞うご期待!

日本小児心身医学会理事長
田中 英高

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