理事長挨拶

謹賀新年

平成23年が始まりました。本学会ウエブサイトをご覧いただき、まことにありがとうございます。この場を借りて新年のご挨拶をさせて頂きます。

昨年の当サイトの挨拶で、小児心身医療の縦への発展(専門的診療の開発と充実)と横への発展(標準的な小児心身医療の普及)を目指し、日本、そして世界の子どもたちに夢と希望を与える心身医学の創造に寄与したいと述べました。すでに前回に報告しましたように、昨年は、第1回認定医試験を実施致しまし、22名が認定医を取得されました。そしてその中から続々と認定指導医の申請をして頂いており、現在、理事会で審査を進めているところです。標準的な心身医療の普及においては、本学会編 ガイドライン集(南江堂)を使った研修会を昨年も行いました。ガイドライン集の販売数は昨年12月に2000部を越え、増刷の運びとなりました。これも皆様の啓発活動のお陰です。心からお礼申し上げます。このガイドライン集は頻度の高い疾患を優先的に発行しましたが、これは各論としての位置づけです。現在、小児心身症の総論版を研究委員会で作成に取りかかっています。

本学会は新役員構成で2年3ヶ月が経過しました。各種委員会が精力的な活動を展開しております。以下に簡単に報告致します。

  • 認定医制度委員会(岡田あゆみ委員長):小児心身医学に関する専門知識と臨床経験を有した医師に対して、22年度から認定医制度を施行開始した。第1回認定医試験を9月に施行し、22名が認定医に認定された。23年度は、制度の普及と改善に努め、9月に第2回認定医試験を行う予定。
  • 研修委員会(汐田まどか委員長):第12回イブニングセミナーは「小児心身医学における症例レポートの作り方」のテーマで開催。今後は、卒前研修、卒後研修に分けそれぞれを充実させ、認定医研修も実施していきたい。
  • 研究委員会(小柳憲司委員長):2002年より多施設共同研究事業・心身症診療ガイドライン作成に着手し、2009年、小児起立性調節障害、不登校、神経性無食欲症、くり返す子どもの痛みの4つをまとめて、南江堂から「小児心身医学会ガイドライン集:日常診療に活かす4つのガイドライン」を出版した。その後も、さまざまな研究班が活動を継続しており、さらなるガイドラインの作成を目指している。
  • 編集委員会(宮本信也委員長):機関誌(年2回)を発行。最新の研究報告、また上記ガイドラインをも掲載し、充実した内容。編集委員を増やして活動を活発化し、出版を迅速化させた。
  • 薬事委員会(石崎優子委員長):2009年は小児への薬物療法の有害事象、適応拡大等の情報提供を行った。2010年は未承認薬の承認と小児への薬物の安全な使用法の普及を目指したい。
  • 地方会委員会(井口敏之委員長):昨年3月に関東甲信越地方会が開催され、全国で7つの地方会体制が確立した。地方会で独自の内容と顔の見える地域での横のつながりを大切にし、認定医の習得に向けた研修の場にもできる。そうした場づくりの支援と地方会同士の交流も行っていきたいと考えている。
  • 保険委員会(藤本保委員長):子どもの心の診療行為を普及・定着させるため、内保連に加入し診療報酬改定に尽力している(日本小児科学会の分科会としては希少な存在)。
  • ホームページ委員会(氏家武委員長):子どもの心の二次診療医向けテキストや地方会、認定医制度に関する情報を満載。また会員専用ページから各種ガイドラインや認定医試験に必要な書式をダウンロードできる。
  • 会則委員会(竹中義人委員長):正会員の入会への迅速性や入会員の増加を図る目的で入会への細則を設けた。学会のロゴマークを募集し、そのロゴが決定された。今後その活用を推進していく予定である。今後も、本学会の社会的認知度と信頼度を高めるための会則作成とその遂行に当たる。
  • 庶務(村上佳津美委員長):本学会活動の頭脳、手足として尽力。「子どもの心の診療関連医学会連絡会(通称6医学会)」にも積極的に参加し、小児科、精神科関連学会と各種活動を連携中。

さてこの冬は、昨夏と正反対に厳しい寒さになりました。天変地異も世界のあちこちで起こっています。一昔前なら、人心の乱れや悪政への天の警告であると思われたでしょう。物質文明によって世には物が溢れていますが、人が如何にあるべきかという心の指針が見失われているようです。先日のあるテレビ報道では、街往く人々が、買えばなんでも手に入る時代なのに、どう生きていったらいいのか分からない、先行きのない不安を感じていると、皆が口にしていました。

物質的に豊かになると、ややともすれば人々は愛の心を忘れがちになります。口幅ったいようですが、愛の心とは、見返りを求めない心です。しかし、物質文明における経済活動では商取引を中心としたgive and takeの精神性が優勢になります。見返りがなければ成立しにくい文明であり、愛の心が薄らいでしまうのもやむを得ないのでしょう。いま、人間関係が殺伐としているのはそのためかもしれません。夫婦関係においても、子育てにおいても私たちは知らず知らずのうちにgive and takeの関係に陥っています。そして、自分がしてもらったことは忘れ、してあげたことばかりを大仰に考えてしまいます。『これだけのことをしてあげたのだから、、、』と。私たちが診療対象とする子どもや保護者は、愛に苦しんでいます。愛に見返りを求めてしまうからでしょう。

しかしながら、人の心と心の関係においては、give、すなわち「与える愛」の心が潤いとなり、救いとなります。愛にも他者を「慈しむ愛」、人を教育する「生かす愛」、憎しみを越えていく「許す愛」があるといわれています。私たちは心の診療に携わる専門家として、愛に苦しむ人々に大いなる愛の心を伝え、そして救いとなるために、今年もまた努力精進を重ねたいと考えます。本学会として貢献度をますために、日本だけでなく世界にも目を向けて情報発信を行く必要があろうと考えております。皆様のご指導、ご協力をお願い致します。

最後に、第29回日本小児心身医学会をご案内します。
2010年9月16-18日、村上 佳津美大会長(近畿大学小児科)の元で、大阪総合保育大学で行います。テーマは、『子どもの心とからだの多様性を考える心身医療』です。まもなく、当サイトで詳細が掲示される予定です。是非、一人でも多くの方に大阪にお越し頂きたい、そして子どもの心とからだを支えるための最新の知見と、皆様の心温まる素晴らしい交流を持って帰って頂きたいと心から願っております。

 

現在の「ご挨拶」へ戻る

このページのトップへ