理事長挨拶

日本小児心身医学会 会員の皆さまへ

拝啓

 やっと秋らしい気候となりました。会員の皆さまにおかれましては、益々ご健勝のこととお慶び申し上げます。また、平素より学会活動にご尽力頂き、まことにありがとうございます。皆さまのお陰で現在会員数は、1000名を突破いたしました。3年間で約2割増の急成長です。先生方のご支援に心から深く感謝申し上げます。

 先の9月に開催されました第29回日本小児心身医学会学術集会では、参加者は380名を越え、過去最高となりました。大会長の村上佳津美先生には立派な学術集会を主催して頂き、心からお礼申し上げます。非会員の方が約100名も参加して頂いたと聞き、とても嬉しく思っています。

 さて、大会に先立って開催された新理事会におきまして、本学会理事長に小生が再任されました。目覚ましく発展している本学会の理事長を再度拝命し、心の引き締まる思いであります。向こう3年間に渡り、会員の皆さまのご指導、ご支援を心よりお願い申し上げます。

 組織が発展するためには、その時代に応じた旗印が必要と思われます。ふり返って3年前、日本小児心身医学会の旗印として、『先見性のある学会』を掲げました。そして具体的な活動として、ガイドラインの作成・発行、独自の認定医制度を開始しました。さらに多くの方々が犠牲になられた東日本大震災では、支援活動を行うべく災害対策委員会を新設しました。また、すでに総会で承認されましたが、本学会は時代の流れに合わせて、専門医制獲得に有利な一般社団法人化を目指すことになりました。これらの発展的成果のすべては会員の皆様方のご協力、ご支援の賜物でございます。

 翻って現在の社会状況を俯瞰しますと、日本の未来を担う子どもたちは決して幸福な状況にあるとは言えません。これは私たちの日常診療で切に実感することです。家庭では、離婚の増加、虐待、家庭内殺傷事件、学校ではいじめ問題が解決せず、自殺する子どもが跡を絶ちません。政治は混迷し内憂外患、不況からの脱出も未だ遠く、うつ病が増加している状況です。このような事態になったのは、戦後60年以上に及び、子どもを育む心構え、他者への愛の心、自らの心の統御といった、人々の心の持ち方が長年にわたり問題があった結果である、と推定されます。人よりももっと多く欲しい、あるいは逆に適当に生きられたらいい、という自己中心的で浮き草のように生きている人たちも少なくないように感じます。このことからも、人作りの根幹となるべき学校教育は、いまこそ見直されるべき最優先項目です。物質的に豊かな時代にあって、いかに生きるべきか、正しさとは何かという人の道について、子どもたちに教える機会が極めて少ないような時代が半世紀も続いています。

 本学会会員である私たちは日常の診療経験から子どもたちの心の成長にとって、一体何が大切なのか、は肌身で感じていることでしょう。私たちの経験を生かし、社会に対して正しい方向を指し示すことが、本学会の使命であろうと強く感じています。今後、本学会はさらなる発展を目指す中で、子どもたちに、保護者に、そして社会全体に対して善き影響力を発揮することが重要だと感じています。

 次の3年間は『先導性のある学会』を旗印に、社会に進むべき方向を指し示すことができる学会を目指したいと思います。平たくいえば、社会を正しい方向に導き、子どもたちを幸福に導く「船頭さん」。言い換えて『先導性』を持つ学会、その叡智を磨き続ける学会を目指したいと考えます。

 そのためにも各種委員会等のさらなる活性化を計画しています。各委員会の新旧委員の交代を含め、委員会の組織編成、および方向性、具体的活動計画に関して検討しています。現在、新委員会が速やかに活動開始するための組織作りを行っているところでございます。

 これまでに多大なご支援、ご指導を賜りました会員の先生方には心からの感謝を申し上げますと同時に、今後も更なるご指導、ご協力を賜りますよう、心よりお願い申し上げます。

敬具

平成23年10月1日
日本小児心身医学会
理事長 田中英高

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