理事長挨拶

第32回日本小児心身医学会学術集会を迎えて(23巻2号巻頭言より)


 会員の皆様におかれましては、平素より学会活動にご支援、協力を賜り、心からお礼申し上げます。  第32回日本小児心身医学会学術集会は、竹中義人大会長(たけなかキッズクリニック)のもと、『再考 子どもの心とからだ:職種の垣根をこえて』を主題として開催いたします。 大阪での大会開催は6回目(そのうち1回は石﨑大会長が5医学会合同の東京開催)となります。当機関誌も年4回の発行となり、学術集会プログラム・抄録号が正式に機関誌として登録されて2回目になり、 一般社団法人としての相応しい内容の充実ぶりに感無量であります。

 冨田和巳前理事長から私が理事長を引き継ぎ、今年で6年目になります。本学会の役員、および会員諸先生方のご尽力とご協力のお陰で、さまざまな活動を展開し、数多くの成果を上げることができました。 その集成として、本年1月、日本小児科学会雑誌に「小児心身医学の現状と展望」と題して総説を寄稿し、巻頭を飾らせていただきました(日児誌2014;118:1-8)。この場を借りてその概要を述べます。

 最大の成果は、「小児心身医学の小児科医への普及」であったかと思います。これは冨田前理事長が設立当時から掲げてきた本学会の理念です。星加明徳元理事長時代に研究委員会が企画した 各種心身症ガイドラインが南江堂から出版され(2009)、この数年間で多くの小児科医に利用されるようになりました。さらに全国7つの地方会の設置で普及活動は進み、毎年約5%の会員数増加にも反映されています(平成26年6月20日現在1141名)。

 小児心身医学に対する全国の小児科医の関心は非常に高く、第117回日本小児科学会、モーニング実践講座 日常診療における不登校児への対応 演者 村上佳津美(近畿大学堺病院)では、このように200名以上参加があった。(写真)本学会に対する全国小児科医の先生方の期待は大きく身の引き締まる思いです。 同学術集会では、福島大学医学部小児科 鈴木雄一先生が、日本イーライリリー優秀論文アワード(公益財団法人 小児医学研究振興財団、理事長 柳澤正義)を受賞しました(平成23年度には小林穂高先生(関西医科大学小児科)が受賞しています)。大変に喜ばしい事です。若手の医師が小児心身医学を リードしてくれる事を期待しています。

このように本学会は発展を遂げておりますが、その原動力となる研究委員会は2009年から永光委員長、小柳理事を中心に精力的にアウトカム研究、介入研究を展開しています。その成果が認められ、平成26年度には小児心身医学会研究委員会 摂食障害WGで申請した厚生労働科学研究課題 「小児摂食障害におけるアウトカム尺度の開発に関する研究」が採択されました。まことに喜ばしい事であり、今後ひとりでも多くの会員にご支援を頂きたいと切に願っています。

 昨年、本学会は竹中担当理事の精力的な活動により一般社団法人へ移行しましたが、その意義については前回述べました。一言で述べるなら「組織パワーを結集した理念実現への不退転の決意」です。そして目指すべき目標は、心と身体の医学・医療を通して、すべての子どもとその家族が「自分は幸福な人間です」と 語れる未来社会を実現することです。「信念を失ったその場しのぎの我々大人(冨田)」にならず、人生の意味するところを深く洞察する人になることを強く願っています。すなわち池見のいう『全人医療の核、幸福の医学』の実践者としての役目を果たしていく所存です。その目的のためにさらに専門性を高めるためにも 専門医制度は重要と考えています。近未来には小児科専門医のサブスペシャリティとして「子どもの心の診療専門医」が認定される可能性が高くなってきました。村上庶務担当理事が関連学会と歩調を合わせて精力的に取り組んでいます。一方で、子どもの全人医療には長い人生を見据えた視点、成人への移行期にある子ども達が 自らの手で幸福を得てほしいと願う視点が重要です。本学会としてもこの領域でリーダーシップをとっている石﨑編集委員長が小児慢性疾患患者の移行期支援に関して新しい取組を進めています。また東日本大震災からすでに3年半以上が経ちましたが、大災害勃発の可能性は常にあります。 災害対策に置ける子ども達への心の支援は、短期的、および長期的視点から行う必要があります。災害対策員会では藤田理事、北山委員長の主導で年末までに「災害時の子どものメンタルヘルス向上対策ガイド」が完成予定です。大いに活用できると期待しています。その他の委員会、すなわち認定医制度委員会(汐田理事、岡田委員長)、 保険委員会(藤本理事、永井委員長)、研修委員会(汐田理事、渡部委員長)も大きな成果を上げており、日本小児科学会総説で報告した通りです。

 今後とも本学会会員が一丸となって、小児心身医学を通して人々の灯火となるべく努力精進を続けたいと思っています。今後とも、ご指導のほど、どうぞよろしくお願い申し上げます。

平成26年7月1日
一般社団法人 日本小児心身医学会 
理事長 田中英高

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