医療計画の見直しにおける日本小児心身医学会の考え(案)

2011年10月6日に開催された「医療計画の見直し等に関する検討会」にて次期医療計画で追加される「精神疾患」の議論が行われています。国の医療計画に新設される「精神疾患」の項に、「児童精神」あるいは「子どもの心」の問題がどのように書きこまれるかは、今後の地域での「子どもの心」の診療体制整備に重要なことであり、本学会としても次のような見解を持っています。

2011年10月17日
日本小児心身医学会
理事長 田中英高

近年、「子どもの心の支援」の重要性が社会的に広く認知されてきた。しかし、これが医療において有機的、効果的に機能するための方策が未整備である。医療計画の見直しにおいては、以下の項目について特段の配慮を求めるものである。

 

  1. 一次医療機関における子どもの心の診療システムの整備
    子どもの心の診療医は数が少ないことから、初期診療では第一に、一般医等一次診療機関が診療を行うことが必要である。その後、二次診療、三次診療と受療できるためのインフラ整備が必要であり、それが速やかに実現するように診療報酬の見直しが必要である。
  2. 診療報酬の見直し
    一次診療機関が、診療報酬の低い心の診療を敬遠するために、軽症から重症まですべての患者が専門医に殺到し、長期の受診待ちなど診療困難な状況にある。一次診療医、専門医に対する診療報酬の見直しによって、受療行動を適正化する必要がある。
  3. 子どもの心の診療医の専門医制の確立
    日本小児心身医学会は主に心身症(起立性調節障害、摂食障害、慢性疼痛、気管支喘息、不登校など)、発達障害、虐待、子育て支援、家族支援を対象とし、すでに本学会では認定医制度を有している。当該領域には6つの関連学会があり、医療計画の見直しでは、それぞれの学会の専門性・独自性を明確化すると同時に、共通にする分野も多いので、それを明確化して、国民に分かりやすい専門性を提供することが必要である。
  4. 学校医専門制度の構築
    近年の学校現場では心に問題を持つ子どもが増え続け、その対応に追われているが、約7割の子どもは未受診のままという現状がある。学校医は担当学校の児童生徒における心身の健康管理を適切に指導する立場にある。しかしながら、学校医は年1-2回の集団健診だけを行い、心の対応はできないのが現状である。これの問題を解消するためには、欧米のように学校医を専門職とする学校医専門制度の設立が必要である。これによって医療機関との効果的な受療システムを構築する事が可能となることから、是非にも実現させる必要がある。今後、医師会、関連学会、国との協議が望まれる。
  5. 医学部卒前教育における子どもの心の諸問題の必修化
    1〜4の新しい医療システムを改革的に実現するには、新しい考え方の教育を受けた次世代の輩出が必要である。そのためには、医学部卒前教育において、コアカリキュラムの充実など子どもの心の領域を必修化し、早期から若い世代に啓発する必要がある。

日本の未来は今の子どもたちが創る、という至極当然の道理を認識し、新しい医療計画を策定されることを期待する。

 

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