理事長挨拶
ご挨拶
この度、2024年(令和6年)9月22日付けで、一般社団法人日本小児心身医学会第8代理事長を拝命いたしました石﨑優子です。子どもの心の問題が各所で取りざたされ、その重要性が認識されている昨今、はなはだ微力ではありますが、子どもたちの心とからだの健全育成を目指して、本学会の発展に誠心誠意努力する所存です。
2024年10月現在、小児医療は大きな局面を迎えています。4月に始まった医師の働き方改革、医師の偏在と地方での救急医療の危機、少子化と疾病構造の変化など、今までの医療構造とは違うもののまだ方向が定まらない状況です。一方で、子どもの心の問題や発達の問題への対応の重要性と期待とは右肩上がりに伸びていると言えましょう。そして今年、日本各地で1か月ならびに5歳児健診が始まり、心の問題や発達の問題の専門家のニーズは増すばかりです。
私の小児科医として心身医学科(心療内科)としての歩みを振り返ると、時代の移り変わりは常に子どもの心とからだの育ちに影響を及ぼしていると考えています。1995年に地下鉄サリン事件と阪神大震災が起こり、PTSDの概念が日本に広まり、トラウマに関連する症状の子どもたちに出会うようになりました。発達障害者支援法、特別支援教育の実施にあたり、小児科外来は神経発達症の子どもたちであふれかえるようになりました。阪神大震災以降も日本各地で起こる地震、特に東日本大震災では、震災を経験した子どもたちの問題はもとより、その外にも避難した先で適応できない子どもたちも少なくありませんでした。
そしてそれら全てのものごとを凌駕するような、新型コロナウイルス感染症のパンデミックが世界を襲いました。コロナ禍、そしてそれ以降に、子どもの心身症患者の増加やコロナ前とは症状が変わったと感じている人は少なくないでしょう。そして海の向こうでは戦火が続き、国内では未曽有の自然災害が日本各地で起こるようになりました。このような中で、子どもたちはもっとも傷つきやすく、もっとも影響を受けやすい存在であろうと思います。
しかし希望は常に目の前にあります。私たちは小児の逆境的経験とともに心的外傷後成長があることを知っています。コロナ禍を始め、さまざまな困難を経験した子どもたちが禍を越えて、より豊かな人生を歩んでいくために今こそ、本学会会員が周りの方々と手をとって協力する時と思います。日本小児心身医学会会員の益々のご活躍ととともに、地域の皆様が私たちともに子どもたちの心とからだの育ちをご支援下さいますよう、心より祈念いたします。何卒よろしくご指導ご鞭撻のほどお願い申し上げます。
2024年9月22日
一般社団法人 日本小児心身医学会
理事長 石﨑 優子
歴代の理事長
任期 | 氏名 | 所属(就任時) |
---|---|---|
昭和58(1983)年〜平成8(1996)年 | 高木 俊一郎 | 上越教育大学 |
平成8(1996)年〜平成11(1999)年 | 長畑 正道 | 文教大学養育学部 |
平成11(1999)年〜平成14(2002)年 | 星加 明德 | 東京医科大学小児科学教室 |
平成14(2002)年〜平成20(2008)年 | 冨田 和巳 | こども心身医療研究所 |
平成20(2008)年〜平成26(2014)年 | 田中 英高 | 大阪医科大学小児科学教室 |
平成26(2014)年〜令和2(2020)年 | 村上 佳津美 | 近畿大学医学部堺病院 |
令和2(2020)年〜令和5(2024)年 | 永光 信一郎 | 福岡大学小児科 |